腰痛・肩こりは体を動かすと楽になる? 〜科学的に考える痛み対策〜
- 勝仁 林
- 2月1日
- 読了時間: 4分
更新日:2月4日

体に備わっている「痛みを抑える仕組み」とは
下降性疼痛抑制メカニズムを整体の視点から解説
痛みがあると、「動かない方がいいのでは」「これ以上悪くなったら怖い」と感じるのは、とても自然な反応です。
実際、腰痛や膝の痛み、肩こりなどの症状があると、運動や日常動作に対して不安を感じ、できるだけ安静にしようと考える方も多いでしょう。
しかし実は、人の体には痛みを和らげるための仕組みが、もともと備わっています。その仕組みを理解することで、「なぜ無理のない動きが痛みに役立つのか」が見えてきます。
人には「痛みを抑えるシステム」がある
私たちの体は、痛みの情報をただ受け取るだけの存在ではありません。
必要に応じて、痛みの信号を弱めたり、抑えたりする働きを持っています。
その代表的な仕組みが、下降性疼痛抑制メカニズムと呼ばれるものです。
下降性疼痛抑制メカニズムとは
下降性疼痛抑制メカニズムを簡単に言うと、脳からの指令によって、痛みの信号を弱める仕組みです。
通常、痛みの情報は体 → 脊髄 → 脳という方向に伝わります。
一方で、下降性疼痛抑制メカニズムでは、脳から「この痛みは抑えても大丈夫」という指令が出され、脊髄レベルで痛みの信号が弱められます。
この働きにより、同じ刺激でも「強く痛い」と感じたり「それほど気にならない」と感じたりする違いが生まれます。
どんな時にこの仕組みは働くのか
下降性疼痛抑制メカニズムは、特別な人だけに起こるものではありません。
例えば、
体を軽く動かした時
安心感を得られた時
血流が良くなった時
このような状態になると、脳は「今は危険ではない」と判断し、痛みを抑える方向に働きやすくなります。
つまり、安心・血流・軽い運動これらは、痛みを和らげる条件になりやすいのです。
なぜ「軽い運動」が痛みに役立つのか
軽い運動や日常動作によって、
筋肉が適度に使われる
血流が改善する
脳が「安全な動きだ」と認識する
こうした条件がそろうと、下降性疼痛抑制メカニズムが働きやすくなります。
その結果、「動くと少し楽になる」「じっとしているより、軽く動いた方が調子がいい」と感じることがあります。
これは気のせいではなく、体の生理的な反応として起こっている現象です。
痛みがある時こそ、無理のない動きが大切
ここで注意したいのは、強い痛みを我慢して動く必要はないという点です。
大切なのは、痛みを悪化させない範囲で、体を使うこと。
例えば、
ゆっくり立ち上がる
小さな範囲で体を動かす
呼吸を意識しながら動作する
こうした動きでも、体の「痛みを抑える仕組み」は十分に働き始めます。
ハードな運動や、無理なストレッチを行う必要はありません。
整体の視点:体が持つ回復力を引き出す
整体では、骨格や筋肉といった構造だけでなく、体が本来持っている回復の仕組みを引き出すことを大切にしています。
「痛み=安静」と考えすぎると、かえって体を動かす機会が減り、回復が遅れてしまうこともあります。
一方で、「痛みと付き合いながら、できる範囲で動く」という考え方は、体の回復力を高めるきっかけになります。
まとめ:体に備わった仕組みを味方にする
下降性疼痛抑制メカニズムは、誰の体にも備わっている、自然な仕組みです。
痛みがあるからこそ、無理のない動きで体を使い、この仕組みを上手に働かせることが大切です。
参考文献(引用文献)
Bingel U, Tracey I.
Imaging CNS modulation of pain in humans.
Physiology (Bethesda). 2008;23:371–380.
→ 下降性疼痛抑制メカニズム(脳による痛み調整)の中枢神経学的基盤を解説した総説論文。
Nijs J, et al.
Exercise therapy for chronic musculoskeletal pain: innovation by altering pain memories.
Manual Therapy. 2015;20(1):216–220.
→ 軽い運動や安心感が痛みの調節機構(下降性疼痛抑制)に関与することを示したレビュー。
次回は
この下降性疼痛抑制メカニズムを
日常生活でどう活かせるのか
どんな動きが向いているのか
を、さらに具体的に解説していきます。





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