大村市|慢性痛(肩こり・腰痛)が長引く人に多い不安・ストレスとの関係
- 勝仁 林
- 2月4日
- 読了時間: 5分
更新日:3 日前

目次
― 痛みが長引くほど、心も疲れていませんか ―
腰痛や肩こり、首の痛みなどが何か月、何年と続いていると、
「この痛みはもう治らないのでは」「また痛くなったらどうしよう」
そんな不安やストレスを感じることはありませんか。
近年の研究では、慢性痛は体の問題だけでなく、不安やストレスと深く関係していることが分かってきています。今回は、
なぜ慢性痛と不安・ストレスが結びつきやすいのか
どう向き合えば楽になりやすいのか
について、科学的な知見も交えながらお伝えします。
慢性痛とは何か(簡単なおさらい)
医学的には、3か月以上続く痛みを慢性痛と呼ぶことが一般的です。
慢性痛の特徴には、
ケガや炎症が治ったあとも痛みが続く
画像検査などで大きな異常が見つからないことがある
痛みの強さが日によって変わる
といった点があります。
近年の疼痛研究では、慢性痛は「組織の損傷の大きさ」と必ずしも一致しないことが示されています。たとえば Woolf(2011)は、慢性痛では脳や神経の働きそのものが変化し、痛みを感じやすい状態が維持されると報告しています。
ここで大切なのは、慢性痛=体が壊れ続けている状態ではないという点です。
不安やストレスが痛みを強くする理由
慢性痛では、体そのものだけでなく、脳・神経・心理的要因が大きく関わります。
不安が強いと、体は「警戒モード」になる
不安やストレスを感じているとき、体は無意識に緊張し、
筋肉がこわばる
呼吸が浅くなる
血流が悪くなる
といった反応が起こります。
Apkarian ら(2009)は、慢性痛患者では感情を司る脳領域と痛みの処理に関わる領域の活動が強く結びつくことを示しています。つまり、不安やストレスが強いほど、痛みの信号が増幅されやすい状態になるのです。
「痛みが怖い」という気持ちが悪循環を生む
慢性痛の方によく見られるのが、
動くと痛くなりそう
無理をしたら悪化しそう
失敗したくない
といった痛みへの恐怖です。
Vlaeyen & Linton(2000)は、このような「恐怖回避思考」が、
動かなくなる
活動量が減る
筋力や柔軟性が低下する
という流れを生み、結果として痛みを長引かせると報告しています。
こうして、「不安 → 緊張 → 痛み → さらに不安」という悪循環が作られてしまいます。
ストレスが強いほど、痛みは長引きやすい
仕事・家庭・人間関係などのストレスは、慢性痛に直接影響します。
ストレスが続くと、
自律神経のバランスが乱れやすくなる
睡眠の質が低下する
回復力が落ちる
といった状態になり、痛みが抜けにくくなると考えられています。
「最近、痛みが強い時期は忙しかった」そんな心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
整体の視点:痛みと心は切り離せない
整体の現場でも、
不安が強い時期に痛みが悪化する
気持ちが落ち着くと体も楽になる
といった変化をよく目にします。
これは「気のせい」や「気持ちの弱さ」ではありません。体と心は同じ神経系でつながっており、どちらか一方だけを見ると回復が遠回りになることが多いのです。
不安やストレスと向き合うための考え方
① 痛みを「ゼロ」にしようとしすぎない
慢性痛では、「完全に痛みをなくす」ことにこだわりすぎると、かえって不安が強くなることがあります。
今より少し楽
波が小さくなる
こうした変化も、十分な前進です。
② 安心できる動きを選ぶ
不安が強いときほど、小さくて安全な動きが大切です。
ゆっくり歩く
呼吸を意識しながら体を動かす
痛くない範囲で関節を動かす
これだけでも、脳は「この動きは安全だ」と学習していきます。
③ 不安を一人で抱え込まない
慢性痛は、一人で我慢し続けるほどつらくなりがちです。
体の状態を整理する
不安を言葉にする
専門家に相談する
こうした行動そのものが、不安と痛みを軽くする一歩になります。
まとめ
慢性痛と不安・ストレスは深く関係している
不安は体を緊張させ、痛みを感じやすくする
「怖さ」から動かなくなると悪循環が起こりやすい
心と体の両方を見ることが、回復への近道
慢性痛は、頑張りすぎなくても、向き合い方を少し変えることで楽になる可能性があります。
「痛みだけでなく、不安もつらい」そんな方は、体と気持ちの両方を整理する視点を持ってみてください。
参考文献(簡単な解説)
Woolf CJ. Pain. 2011
慢性痛では、ケガが治ったあとも脳や神経が痛みに敏感な状態になり、痛みが続くことがあると報告されています。「痛み=体が壊れている」わけではないことを示した研究です。
Apkarian AV ほか. Progress in Neurobiology. 2009
慢性痛では、痛みと不安・ストレスなどの感情をつかさどる脳の働きが強く関係することが示されています。そのため、気持ちの状態によって痛みが強く感じられることがあります。
Vlaeyen JWS, Linton SJ. Pain. 2000
「痛みが怖い」と感じて動かなくなることで、体が硬くなり、痛みが長引く悪循環が起こることを示した研究です。 無理のない動きが回復に大切である根拠となっています。





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