「異常なし」と言われたのに痛いあなたへ ― その痛み、気のせいではありません
- 勝仁 林
- 3 日前
- 読了時間: 4分

目次
病院でレントゲンやMRIを撮り、「特に異常はありませんね」「様子を見ましょう」そう言われたのに、現実には痛みが続いている。
「じゃあ、この痛みは何なの?」「気のせいってこと?」「このまま一生治らないの?」
そんな不安を抱えている方は、決して少なくありません。
結論からお伝えすると、検査で異常がなくても、痛みがあることは珍しくありません。そしてそれは、あなたの気のせいではありません。
腰痛や膝痛の研究では、画像所見と症状が一致しないケースが非常に多いことが分かっています。
例えば、
ヘルニアの画像があるのに痛みがない人
画像に異常がないのに強い痛みがある人
このようなケースは、決して珍しくありません。
実際、腰痛の多くは**「非特異性腰痛」**と呼ばれ、明確な原因が画像検査で特定できないものが大半を占めます。
非特異性腰痛とは、「異常がない」という意味ではなく、👉 レントゲンやMRIだけでは説明できない要素が関与している腰痛と考えられています。
つまり、
👉 ヘルニアが写っている=その痛みの原因👉 画像に異常がない=問題なし
という単純な話ではありません。
痛みは「組織の異常」だけで決まらない
国際疼痛学会(IASP)は、痛みを次のように定義しています。
痛みとは、実際または潜在的な組織損傷に関連する、あるいはそれに似た、不快な感覚的・情動的体験
この定義が示すように、痛みは感覚だけでなく、感情や脳の働きも含む体験です。
つまり痛みは、
筋肉・関節
神経
脳・心理状態
これらが複雑に関係して生じます。
なぜ「異常なし」でも痛むのか
① 神経が敏感になっている
痛みが長引くと、神経が過敏な状態になり、小さな刺激でも強い痛みとして感じることがあります。
② 脳が「危険」と判断している
過去の痛み経験や強い不安があると、脳が体を守るために、痛みを強めて出すことがあります。
③ 動き方のクセ
特定の部位に負担が集中する動き方が続くと、組織が壊れていなくても痛みが出る場合があります。
「ヘルニアがある=ずっと痛い」ではない
画像でヘルニアが見つかると、「もう治らないのでは」と不安になる方が多いです。
しかし、ヘルニアがあっても無症状の人はたくさんいます。
大切なのは、
どんな動きで痛むのか
どんな姿勢で楽なのか
体がどう使われているのか
こうした機能面の評価です。
痛みが長引く人ほど「動かなくなる」
痛みがあると、
「動くと悪化しそう」「怖いから安静にしておこう」
と考えがちです。
しかし、動かない期間が長くなると、
筋力低下
血流低下
体のこわばり
が進み、さらに痛みが出やすい体になります。
これは、
痛み → 動かない → 体が固まる → さらに痛む
という悪循環です。
大切なのは「原因探し」より「向き合い方」
もちろん、重大な疾患を除外するために検査は重要です。
ただし、
「原因が写らない=何もできない」
わけではありません。
動きやすさを取り戻す
負担の少ない体の使い方を知る
安心して動ける経験を増やす
こうした積み重ねが、結果的に痛みを和らげる方向へつながります。
整体の視点:検査に写らない部分を見る
当院では、
関節の動き
筋肉の緊張バランス
姿勢・歩き方・立ち座り
といった機能面を重視して評価します。
画像では分からない**「体の使われ方」**に目を向けることで、負担のかかっているポイントが見えてくることがあります。
まとめ
画像と症状は一致しないことが多い
腰痛の多くは非特異性腰痛
痛みは体だけでなく脳・神経も関与
「異常なし」でも痛みは存在する
動きやすさを取り戻すことが大切
「異常がないと言われたから」と、その痛みを一人で抱え込まないでください。あなたの痛みには、向き合う価値があります。
次回予告
次回は、原因がはっきりしない腰痛に対して、研究で効果があるとされている対処法を、日常生活や施術の現場でどう活かすかという視点で、わかりやすくお伝えします。
「原因が分からない腰痛」に悩んでいる方は、ぜひ次回の記事もご覧ください。
参考文献
1. Raja SN, et al. The revised International Association for the Study of Pain definition of pain. Pain, 2020.
2. Hartvigsen J, et al. What low back pain is and why we need to pay attention. Lancet, 2018.
3. Brinjikji W, et al. MRI findings of disc degeneration are more prevalent in adults with low back pain than in asymptomatic controls. AJNR, 2015.
4. Waddell G. The back pain revolution. 2nd ed. Churchill Livingstone, 2004.
5. Moseley GL, Butler DS. Fifteen years of explaining pain. J Pain, 2015.





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